周術期管理チーム認定試験【練習問題⑤ー8】

練習問題

周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。

①小児の術前管理として正しいのはどれか。 1つ

a 人工乳は術前 4 時間までとする。
b 術前診察では口腔内診察を最初に行う。
c 小児の前投薬にアトロピンは禁忌である。
d 上気道炎後は 2~4 週の手術延期が望ましい。
e BCG 接種後の手術は 1 週間の間隔をあけるとよい。

答え

(d)

  • ×a 人工乳は術前 4 時間までとする。
  • ×b 術前診察では口腔内診察を最初に行う。
  • ×c 小児の前投薬にアトロピンは禁忌である。
  • ○d 上気道炎後は 2~4 週の手術延期が望ましい。
  • ×e BCG 接種後の手術は 1 週間の間隔をあけるとよい。
  • 清澄水2時間、母乳4時間、人工乳・牛乳6時間
  • 術前診察は検査よりも既往歴の確認や身体検査が主体となる
  • 以前は前投薬でアトロピン投与が行われたが、現在少なくなってきている
  • 上気道炎後は 2~4 週の手術延期が推奨されている。
  • 生ワクチン3週間。不活化ワクチン1週間。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P452
周術期管理チーム認定試験2024年参考

②吸入麻酔での導入・維持について正しいのはどれか。 1つ

a 緩徐導入は成人患者では適応にならない。
b デスフルランは緩徐導入には不適当である。
c オピオイドや区域麻酔は MAC には影響しない。
d 高齢者では麻酔維持に必要な吸入麻酔薬の濃度が高い。
e 低流量麻酔では目標とする麻酔薬濃度を迅速に達成できる。

答え

(b)

  • ×a 緩徐導入は成人患者では適応にならない。
  • ○b デスフルランは緩徐導入には不適当である。
  • ×c オピオイドや区域麻酔は MAC には影響しない。
  • ×d 高齢者では麻酔維持に必要な吸入麻酔薬の濃度が高い。
  • ×e 低流量麻酔では目標とする麻酔薬濃度を迅速に達成できる。
  • 緩徐導入は末梢血管確保困難小児、極度の肥満、針恐怖症の患者に対して行われる。
  • オピオイドと併用するとMACが低下する
  • 高齢者MAC低下 P197表2 高齢になるほど肺胞が劣化するため反応が悪い
  • 低流量麻酔ではなく通常流量の方が目標とする麻酔薬濃度を迅速に達成できる。P539
    低流量麻酔は経済効果に優れている。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P196~、538
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

③輸血について正しいのはどれか。 1つ

a 赤血球液は 20~24℃で保存する。
b 新鮮凍結血漿は 20~24℃で保存する。
c 血小板濃厚液は 2~6℃で振盪して保存する。
d Type & Screen(T&S)では術前に交差適合試験を実施する。
e 自己血輸血には貯血式,希釈式,回収式の 3 つの方法がある。

答え

(e)

  • ×a 赤血球液は 20~24℃で保存する。→冷蔵庫で保存
  • ×b 新鮮凍結血漿は 20~24℃で保存する。→2~6℃で保存
  • ×c 血小板濃厚液は 2~6℃で振盪して保存する→→20~24℃で保存
  • ×d Type & Screen(T&S)では術前に交差適合試験を実施する。
    →不規則抗体スクリーニングを行う
  • ○e 自己血輸血には貯血式,希釈式,回収式の 3 つの方法がある。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P742
周術期管理チーム認定試験2024年参考

④生ワクチンはどれか。 1つ

a 風疹ワクチン
b B 型肝炎ワクチン
c 肺炎球菌ワクチン
d 破傷風トキソイド
e インフルエンザワクチン

答え

(a)

  • ○a 風疹ワクチン
  • ×b B 型肝炎ワクチン
  • ×c 肺炎球菌ワクチン
  • ×d 破傷風トキソイド
  • ×e インフルエンザワクチン

周術期管理チームテキスト第4版 P453 表2

周術期管理チームテキスト第4版 P453
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑤腹臥位の手術の麻酔について正しいのはどれか。 1つ

a 心拍出量は増加する。
b 上大静脈の圧迫に注意する。
c 仰臥位に比べて気道管理は容易である。
d 眼球の圧迫がなくても失明のリスクがある。
e 心停止時の胸骨圧迫は腹臥位では不可能である。

答え

(d)

  • ×a 心拍出量は増加する。→低下する
  • ×b 上大静脈の圧迫に注意する。→下大静脈の圧迫に注意する
  • ×c 仰臥位に比べて気道管理は容易である。
    →腹部の圧迫の程度により逆に憎悪する場合もあるので注意が必要である
  • ○d 眼球の圧迫がなくても失明のリスクがある。
  • ×e 心停止時の胸骨圧迫は腹臥位では不可能である。
    →手術中の体位変換は容易でないため、腹臥位のまま背部を圧迫する方法も考慮する。

周術期管理チームテキスト第4版 P711
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑥腹横筋膜面ブロックで局所麻酔薬を投与するのは図の a~e のうちどの層か。 1つ

腹部のエコー画像を簡略化した図

※ 詳細画像は2024年11月試験B問題16設問の画像をご確認ください
周術期管理チーム認定公式

答え

(c)

  • 腹横筋膜面がどこかを問う問題です。テキスト第4版 P784をご確認ください。

周術期管理チームテキスト第4版 P784
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑦薬剤とその拮抗薬の組み合わせとして正しいのはどれか。 2つ

(1)アセトアミノフェン………プロタミン
(2)フェンタニル………オンダンセトロン
(3)プロポフォール ………ナロキソン
(4)ミダゾラム………フルマゼニル
(5)ロクロニウム………スガマデクス

答え

(4),(5)

  • ×(1)アセトアミノフェン………プロタミン →アセチルシステイン
  • ×(2)フェンタニル………オンダンセトロン →ナロキソン
  • ×(3)プロポフォール ………ナロキソン →拮抗薬なし
  • ○(4)ミダゾラム………フルマゼニル
  • ○(5)ロクロニウム………スガマデクス
  • プロタミン→ヘパリンの拮抗薬
  • プロポフォール→拮抗薬なし
  • オンダンセトロン→5-HT3受容体に拮抗し、抗がん剤の嘔吐や、PONVに使用する

周術期管理チームテキスト第4版 P194~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑧人工呼吸中,回路が外れた時に最も早く異常が感知できるのはどれか。 1つ

a 血圧
b 心拍数
c 皮膚の色
d カプノグラム
e 経皮的酸素飽和度

答え

(d)

  • ×a 血圧
  • ×b 心拍数
  • ×c 皮膚の色
  • ○d カプノグラム
  • ×e 経皮的酸素飽和度
  • 気管チューブの抜管等によりカプノグラムのPETCO2が急に低下する。その後身体的症状が現れてくる。

周術期管理チームテキスト第4版 P347
周術期管理チーム認定試験2024参考

⑨周術期の異常高血圧の原因として誤っているのはどれか。 1つ

a 浅麻酔
b シバリング
c 膀胱の充満
d 低二酸化炭素血症
e ターニケット駆血時間の延長

答え

(d)

  • ○a 浅麻酔
  • ○b シバリング
  • ○c 膀胱の充満
  • ×d 低二酸化炭素血症
  • ○e ターニケット駆血時間の延長

  • 個人的イメージです。 テキストP601表1をご確認ください
    • 麻酔浅い→痛い→我慢→血圧↑
    • 寒い→ジバリング→汗を止める→血管収縮→血圧↑
    • 尿我慢→血圧↑
    • 二酸化炭素血症→体に二酸化炭素たくさん→苦しい→血圧↑
    • 低二酸化炭素血症→体に酸素たくさん→苦しくない→血圧正常or↓
    • 血圧測定→ターニケット時間長い→苦しい→血圧↑

周術期管理チームテキスト第4版 P601 表1
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑩質の高い心肺蘇生(CPR)で誤っているのはどれか。1つ

a 過換気を避ける。
b 胸骨圧迫の中断を最小限にする。
c 胸骨圧迫ごとに胸壁をもとに戻す。
d 成人では胸骨を 5~6 cm 圧迫する。
e 130~150 回/分の速度で胸骨圧迫する。

答え

(e)

  • ○a 過換気を避ける。
  • ○b 胸骨圧迫の中断を最小限にする。
  • ○c 胸骨圧迫ごとに胸壁をもとに戻す。
  • ○d 成人では胸骨を 5~6 cm 圧迫する。
  • ×e 130~150 回/分の速度で胸骨圧迫する。

  • 術中心停止であっても,病棟での心停止であっても,重要なことは早期発見,早期の心肺(CPR)の開始である。いったん心停止が診断されたら,絶え間ない胸骨圧迫が必要である。圧迫は胸骨下半分の位置で,圧迫のテンポは1 分間に100—120 回で,圧迫の深さは5—6 cm である。圧迫のたびごとに胸郭の戻りを確認する。気管挿管や高度な気道確保が得られていない間は,胸骨圧迫30 回に対して人工呼吸2 回を行う。換気は1 秒で,傷病者の胸の上がりを確認する。人工呼吸は過換気にならないように注意し,高度な気道確保後では,6 秒に1 回のテンポで非同期に実施する。静脈注射された昇圧薬は,胸骨圧迫なしには効果を示さない。循環時間の遅延を考慮し,静脈投与したあとには,生理食塩液20 ml で後押しする。(術中心停止に対するプラクティカルガイド)

周術期管理チームテキスト第4版
術中心停止に対するプラクティカルガイド「術中心停止の蘇生の基本」より
周術期管理チーム認定試験2024年参考

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