周術期管理チーム認定試験【練習問題①-1】

練習問題

周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。

①手術室の物理的環境に関して誤っているのはどれか。1つ

a 室内圧は 15 Pa(1.5 mmH2O)以上の陽圧に保たれている。
b 手術室のドアの開閉が増えると室内の清潔度は低下する。
c 人工関節手術では手洗いに滅菌水の使用が推奨されている。
d HEPA フィルタから送気される清潔な空気は天井から術野に向かう垂直層流を形成する。
e 手術室の換気回数は一般手術室で35~45 回/時,バイオクリーン手術室で120~200 回/時である。

答え

  • a そのため手術室内には微差圧ダンパが装着されている。例外として、手術室で空気感染予防策を行う場合は、汚染された空気が外部に漏れ出ないように室内を陰圧にする。
  • b 手術室の清潔度を達成するには手術室のドアの開閉を最小限にとどめる
  • c かつては滅菌水の使用が推奨されていたが、現在は適切に管理された水道水でよいとされている。
  • d HEPA フィルタから送気される清潔な空気は天井から術野に向かう垂直層流を形成して四方の壁の床面近くにある空気取り込み口から排気される。
  • e しかしながら、過度の換気は設備の負担になり、送気による患者体温の低下、室内騒音などが発生する。

周術期管理チームテキスト第4版P82~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

②日本麻酔科学会が推奨する,セルフチェック機構がない麻酔器の始業点検に関して正しいのはどれか。3つ

(1)低酸素防止装置付き流量計が正しく作動することを確認する。
(2)中央配管から麻酔器への酸素供給圧が4±0.5 kgf/cm2 であることを確認する。
(3)人工呼吸器の低圧アラームと高圧アラームが適切に作動することを確認する。
(4)呼吸回路のリークテストで,回路内圧を 20 cmH2O まで加圧してもリークがないことを確認する。
(5)中央配管からの酸素供給が途絶すると自動的に補助酸素ボンベに切り替わることを確認する。

答え

(1)(2)(3)

  • (4)酸素を5~6L/min流して呼吸器回路内圧を 30 cmH2Oになるまで呼吸バッグを膨らまし、次いでバッグを押して、回路内圧を 40~50cmH2Oにしてリークがないことを確認する。
  • (5)酸素が遮断されると、亜酸化窒素が遮断されることを確認する。

周術期管理チームテキスト第4版P91~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

③放射線の職業被曝に関して正しいのはどれか。3つ

(1)実効線量限度は 50 mSv/年である。
(2)確率的影響には閾値線量が存在する。
(3)含鉛防護衣は放射線を 99%以上遮蔽できる。
(4)生殖可能年齢の女性の実効線量限度は 5 mSv/3 か月である。
(5)エプロン型防護衣を着用する際は背後からの被曝に注意する。

答え

(1)(4)(5)

  • (1)実効線量限度50 mSv/年かつ100 mSv/5年。生殖年齢女性5 mSv/3 か月。
  • (2)確率的影響には閾値が存在しない。確定的影響には閾値が存在する。
  • (3)10%程度は透過する。防護衣と他の防護用具を併用することが推奨されている。
  • 等価線量限度 水晶体:150 mSv/年。皮膚:500 mSv/年。妊娠中腹部表面:2 mSv/妊娠期間。

周術期管理チームテキスト第4版P108~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

④災害対策として正しいのはどれか。2つ

(1)火災時には CO2 消化器の使用が推奨される。
(2)断水時にもタンクに残っている水質は保たれる。
(3)空冷式自家発電装置は断水時に使用できない。
(4)瞬時特別非常電源は連続運転時間 10 時間以上である。
(5)震度 6 以上の地震発生時には開始していない手術は全て中止する。

答え

(1)(5)

  • (1)ABC消火器は粉末が充填し、室内が汚染されるため、欧米のガイドラインでは禁止されている。第4版P119
  • (2)水質は低下する為、緊急性の低い手術は中止、やむをえず行う場合には、手洗いはアルコール製剤の擦り込みを遵守する。
  • (4)瞬時特別非常電源は立ち上がり0.5秒、連続運転時間 10 分間以上である。特別非常電源は立ち上がり10秒以内、連続運転時間 10 時間以上。一般非常電源は立ち上がり40秒以内、連続運転時間 10 時間以上
  • (5)手術中は中断は必要であるが、すぐに閉創し手術を中止し、避難する必要はない。開始していない手術は全て中止する。

周術期管理チームテキスト第4版P117~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑤医療ガスについて正しいのはどれか。3つ

(1)酸素の配管色は緑である。
(2)二酸化炭素のボンベ色は緑である。
(3)医療ガス安全・管理委員会は 2 年に 1 回開催される。
(4)酸素の標準圧力は他のガスより静止圧状態において 30 kPa 低い。
(5)手術器具の駆動用窒素や駆動用空気以外の標準圧力はすべて 400±40 kPa である。

答え

(1)(2)(5)

  • (1)酸素:ボンベ色黒、配管色緑。第4版P144
  • (2)二酸化炭素:ボンベ色緑。配管色橙。第4版P144
  • (3)年1回
  • (4)酸素は他のガスより30kPa高い。低酸素状態防止の為。

周術期管理チームテキスト第4版P142~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑥ハラスメント対策として誤っているのはどれか。1つ

a ハラスメントは働く者の能力の有効な発揮を妨げる。
b セクハラであるか否かの判断は加害者の意図に依らない。
c 「ノー」と言えない場合は周囲の人に助けてもらう必要がある。
d 手術室は閉鎖的で密室性が強いため,ハラスメントが起こりにくい環境である。
e ドクター・ハラスメントとは,医療従事者による患者や患者家族に対する心
ない発言や行動を指す。

答え

d

  • d 閉鎖的であるからこそハラスメントが起こりやすい。

周術期管理チームテキスト第4版P121~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑦医薬品の管理について正しいのはどれか。3つ

(1)医療用麻薬は毒薬と一緒の金庫に保管・管理する。
(2)医療用麻薬の残液は空容器と別に薬剤部に返却する。
(3)筋弛緩薬を使用する場合は管理簿へ記載が必要である。
(4)向精神病薬を使用した場合は空容器を回収し,使用量・残液量を確認する。
(5)特定生物由来製品を使用した場合は製品名・製造番号や患者氏名,投与日を記録して保管する。

答え

(3)(4)(5)

  • (1)医療用麻薬は「麻薬及び向精神薬取締法」により、単独で金庫に保管することが定められている。
  • (2)空容器と共に残液も返却する。
  • (3)筋弛緩薬(毒薬)は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により、管理簿の記載が必要である。
  • (4)向精神薬は「麻薬及び向精神薬取締法」により定められている。
  • (5)特定生物由来製品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と厚生労働省令により定められ、使用記録は少なくとも20年間は保存しなくてはならない。

周術期管理チームテキスト第4版P36~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑧局所麻酔薬中毒について正しいのはどれか。3つ

(1)初期症状に耳鳴りがある。
(2)局所麻酔薬の最大用量を超えなくても起こる。
(3)痙攣の抑制目的でのプロポフォール投与は避ける。
(4)20%脂肪乳剤の投与は改善がなければすぐに中止する。
(5)局所麻酔薬が血管内に直接投与されなければ起こらない。

答え

(1)(2)(3)

  • (1)唇のしびれ耳鳴り初期症状が出現する。
  • (2)血中濃度が上昇することにより中毒の症状が現れる。投与量、ブロック部位、年齢、心疾患、肝機能低下、低たんぱく血症、アシドーシス、Na+チャンネル遮断薬投与などの影響を受ける。
  • (3)初期治療の痙攣抑制としてベンゾジアゼピン系が望ましい。循環不安定時はプロポフォールを避ける。(第4版P218表2米国区域麻酔学会の局所麻酔中毒チェックリスト参照)
  • (4)改善がなければ、1~2回急速静注を繰り返す(第4版P218表2…参照)
  • (5)血管内に直接投与されなくても起こる。直接投与した場合は、初期症状(唇のしびれ、耳鳴り)中枢神経毒性の症状(不穏、痙攣、昏睡)心血管系の症状(徐脈、低血圧、不整脈)の症状がほぼ同時に現れることがある。

周術期管理チームテキスト第4版P218~(282,293,271)
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑨周術期の抗菌薬について正しいのはどれか。3つ

(1)広域抗菌薬を使用する。
(2)予防抗菌薬を術後 3 日以上投与する。
(3)大量出血の場合抗菌薬の再投与を考慮する。
(4)腎機能障害患者の初回投与量は減量しない。
(5)遠隔部位感染(RI)を予防抗菌薬の対象とはしない。

答え

(3)(4)(5)

  • (1)耐性菌出現の観点から狭域抗菌薬を選択する。
  • (2)耐性菌出現の観点から術後24時間以内での投与が推奨されている。
  • (3)短時間における大量出血時(1500mL以上)の場合は再投与の必要がある。
  • (4)有効血中濃度を保持することが必要とされるため、腎機能低下患者であっても初回投与量は減量すべきでない。第4版P237。投与量を調節するのではなく、再投与の間隔を長くする。表7参照。
  • (5)術後感染予防薬はSSI(手術部位感染)の発生率を軽減させることを第一目標としている。

周術期管理チームテキスト第4版P232~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

⑩周術期口腔機能管理料について正しいのはどれか。2つ

(1)入院前のみ算定できる。
(2)肺癌手術で算定できる。
(3)骨髄移植手術で算定できる。
(4)副鼻腔炎手術で算定できる。
(5)手術を実施する病院でのみ算定できる。

答え

(2)(3)

  • (1)入院前も可能
  • (2)(3)(4)癌手術、心臓血管手術、生体組織移植手術、骨髄移植手術、人工股関節置換術の整形外科手術、脳卒中に対する手術などがある。
  • (5)連携する歯科医療機関でも可能である。

周術期管理チームテキスト第4版P63~
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

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