周術期管理チーム認定試験【練習問題⑤ー7】

練習問題

周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。

①電子タバコと加熱式タバコについて正しいのはどれか。 1つ

a 電子タバコでも有害物質が発生する。
b 加熱式タバコには有害物質は含まれていない。
c ニコチンを含む電子タバコが日本で正規に販売されている。
d ニコチンを含まない電子タバコでもニコチン置換療法になる。
e 加熱式タバコは従来のタバコよりも健康に与える影響が少ない。

答え

(a)

  • ○a 電子タバコでも有害物質が発生する。
  • ×b 加熱式タバコには有害物質は含まれていない。
  • ×c ニコチンを含む電子タバコが日本で正規に販売されている。
  • ×d ニコチンを含まない電子タバコでもニコチン置換療法になる。
  • ×e 加熱式タバコは従来のタバコよりも健康に与える影響が少ない。
  • 周術期禁煙プラクティカルガイド(麻酔科学会)からの問題です。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版
周術期禁煙プラクティカルガイド(麻酔科学会)
周術期管理チーム認定試験2024年参考

②喫煙が手術患者に与える影響について正しいのはどれか。 3つ

(1)術後急性痛を軽減する。
(2)術後痛の慢性化を予防する。
(3)血液の酸素含有量が低下する。
(4)人工関節の再置換率が増加する。
(5)冠動脈バイパス術後グラフト開存率が低下する。

答え

(3),(4),(5)

  • ×(1)術後急性痛を軽減する。
  • ×(2)術後痛の慢性化を予防する。
  • ○(3)血液の酸素含有量が低下する。
  • ○(4)人工関節の再置換率が増加する。
  • ○(5)冠動脈バイパス術後グラフト開存率が低下する。

周術期禁煙プラクティカルガイド(麻酔科学会)からの問題です。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版
周術期禁煙プラクティカルガイド(麻酔科学会)
周術期管理チーム認定試験2024年参考

③周術期のアナフィラキシーで誤っているのはどれか。 1つ

a 筋弛緩薬は原因薬剤となる。
b 90%は導入時に発症している。
c 成人では血圧低下で気づくことが多い。
d 小児では気管支痙攣で気づくことが多い。
e 喘息の既往はリスクファクターとはならない。

答え

(e)

  • ○a 筋弛緩薬は原因薬剤となる。
  • ○b 90%は導入時に発症している。
  • ○c 成人では血圧低下で気づくことが多い。
  • ○d 小児では気管支痙攣で気づくことが多い。
  • ×e 喘息の既往はリスクファクターとはならない。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P603 他
アナフィラキシーに対する対応プラクティカルガイド(麻酔科学会)
周術期管理チーム認定試験2020年参考

④酸素飽和度測定について正しいのはどれか。 3つ

(1)測定部位のマニキュアは落とす。
(2)メトヘモグロビン血症では SpO2 は低下する。
(3)pH が低下するとヘモグロビン酸素解離曲線は右方移動する。
(4)SpO2 が 100% を維持していれば,肺の酸素化能の低下は認めない。
(5)SpO2 は血液中の還元ヘモグロビンに対する酸素ヘモグロビンの比率である。

答え

(1),(2),(3)

  • ○(1)測定部位のマニキュアは落とす。
  • ○(2)メトヘモグロビン血症では SpO2 は低下する。
  • ○(3)pH が低下するとヘモグロビン酸素解離曲線は右方移動する。→P342図1
  • ×(4)SpO2 が 100% を維持していれば,肺の酸素化能の低下は認めない。
    →高濃度酸素吸入が行われている場合、肺の酸素化能の悪化を見逃してしまうおそれがある。
  • ×(5)SpO2 は血液中の還元ヘモグロビンに対する酸素ヘモグロビンの比率である。
    →全ヘモグロビンにおける酸素ヘモグロビンの比率

周術期管理チームテキスト第4版 P341
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑤声門上器具について正しいのはどれか。 3つ

(1)誤嚥を防ぐことができない。
(2)マスク換気不能時には使用できない。
(3)6 歳未満では使用することができない。
(4)喉頭鏡を使用せずに挿入が可能である。
(5)咳き込みで気道閉塞を起こす危険がある。

答え

(1),(4),(5)

  • ○(1)誤嚥を防ぐことができない。
  • ×(2)マスク換気不能時には使用できない。
  • ×(3)6 歳未満では使用することができない。→サイズ1は5kg未満、サイズ1.5は5~10kgなど
  • ○(4)喉頭鏡を使用せずに挿入が可能である。
  • ○(5)咳き込みで気道閉塞を起こす危険がある。

周術期管理チームテキスト第4版 P254~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑥筋弛緩薬とその拮抗薬について誤っているのはどれか。 1つ

ロクロニウムの大部分は肝臓で代謝される。
b 広範囲熱傷にスキサメトニウムを使用すると高カリウム血症を呈しやすい。
c スガマデクスの投与量が不十分な場合,再クラーレ化を起こす可能性がある。
d スガマデクスとロクロニウムの包接複合体は解離せずに腎臓より尿中排泄される。
e 非脱分極性筋弛緩薬は麻酔に使用する薬物の中でアナフィラキシーの頻度が高い。

答え

(a)

  • ×a ロクロニウムの大部分は肝臓で代謝される。→胆汁排泄50%、尿中排泄30%
  • ○b 広範囲熱傷にスキサメトニウムを使用すると高カリウム血症を呈しやすい。
  • ○c スガマデクスの投与量が不十分な場合,再クラーレ化を起こす可能性がある。
    →「再クラーレ化」とは、筋弛緩剤の使用後に、一度回復した筋力(神経筋機能)が、一定時間後に再度強まる状態を指します。
  • ○d スガマデクスとロクロニウムの包接複合体は解離せずに腎臓より尿中排泄される。→95%
  • ○e 非脱分極性筋弛緩薬は麻酔に使用する薬物の中でアナフィラキシーの頻度が高い。

周術期管理チームテキスト第4版 P213
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑦脳循環と麻酔管理について正しいのはどれか。 3つ

(1)頭蓋内圧の正常値は 5~10 mmHg である。
(2)揮発性麻酔薬は濃度依存性に脳血流を減少させる。
(3)脳灌流圧は収縮期動脈圧から頭蓋内圧を引いた値である。
(4)慢性的な高血圧症例では脳灌流圧の目標値を高めに設定する。
(5)もやもや病を有する症例では PaCO2 が低下しないように管理する。

答え

(1),(4),(5)

  • ○(1)頭蓋内圧の正常値は 5~10 mmHg である。→8~12mmHg
  • ×(2)揮発性麻酔薬は濃度依存性に脳血流を減少させる。
    揮発性吸入麻酔薬は脳酸素代謝(CMR)を低下させる
    ケタミン以外の静脈麻酔薬は脳血流(CBF)脳酸素代謝(CMR)を低下させる
    →麻薬性鎮痛薬は両者にほとんど影響しない
  • ×(3)脳灌流圧は収縮期動脈圧から頭蓋内圧を引いた値である。
    →脳灌流圧(CPP)=平均動脈圧(MAP)ー頭蓋内圧(ICP)
  • ○(4)慢性的な高血圧症例では脳灌流圧の目標値を高めに設定する。
  • ○(5)もやもや病を有する症例では PaCO2 が低下しないように管理する。

周術期管理チームテキスト第4版 P697~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑧深鎮静の際に注意すべき点はどれか。 3つ

(1)誤嚥
(2)舌根沈下
(3)喉頭蓋による閉塞
(4)硬口蓋による閉塞
(5)低二酸化炭素血症

答え

(1),(2),(3)

  • ○(1)誤嚥
  • ○(2)舌根沈下
  • ○(3)喉頭蓋による閉塞
  • ×(4)硬口蓋による閉塞
  • ×(5)低二酸化炭素血症→低酸素血症

周術期管理チームテキスト第4版 P595コラム1
周術期管理チーム認定試験2024参考

⑨心電図について正しいのはどれか。 1つ

a 低カリウム血症では T 波が増高する。
b 3 極誘導法では I 誘導をモニタリングすることが多い。
c QT 間隔とは QRS 波の始まりから T 波の始まりまでである。
d II 誘導に V5 誘導を併用すると心筋虚血診断感度は 80%となる。
e モニターモードでは電気メスなどのアーチファクトの影響を受けやすい。

答え

(d)

  • ×a 低カリウム血症では T 波が増高する。→T波の減高・平低化
  • ×b 3 極誘導法では I 誘導をモニタリングすることが多い。→Ⅱ誘導
  • ×c QT 間隔とは QRS 波の始まりから T 波の始まりまでである。→T波の終わりまで
  • ○d II 誘導に V5 誘導を併用すると心筋虚血診断感度は 80%となる。
  • ×e モニターモードでは電気メスなどのアーチファクトの影響を受けやすい。
    →受けにくい。しかし、心電図波形へのフィルタの影響が大きくなるので、診断時は診断モードを使用する。

周術期管理チームテキスト第4版 P311
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑩慢性腎不全患者の合併症チェック項目に含まれていないものはどれか。1つ

a 貧血
b 出血傾向
c うっ血性心不全
d 低カリウム血症
e 副甲状腺機能亢進症

答え

(d)

  • ○a 貧血
  • ○b 出血傾向
  • ○c うっ血性心不全
  • ×d 低カリウム血症→高カリウム血症
  • ○e 副甲状腺機能亢進症

周術期管理チームテキスト第4版 P412表5
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

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