周術期管理チーム認定試験【練習問題⑤ー3】

練習問題

周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。

①非観血的血圧測定法について正しいのはどれか 3つ

(1)カフ内部の空気嚢は動脈の真上に置く必要がある。
(2)カフを巻く位置が心臓の位置より高いと血圧は低く測定される。
(3)カフの幅は上腕の径より 20%大きいものを使用するのが適切である。
(4)カフの巻き方がゆるすぎると収縮期血圧,拡張期血圧はともに低く測定される。
(5)カフの幅が狭いものを用いると収縮期血圧,拡張期血圧はともに低く測定される。

答え

(1),(2),(3)

  • ○(1)カフ内部の空気嚢は動脈の真上に置く必要がある。
  • ○(2)カフを巻く位置が心臓の位置より高いと血圧は低く測定される。
  • ○(3)カフの幅は上腕の径より 20%大きいものを使用するのが適切である。
  • ×(4)カフの巻き方がゆるすぎると収縮期血圧,拡張期血圧はともに低く測定される。
  • ×(5)カフの幅が狭いものを用いると収縮期血圧,拡張期血圧はともに低く測定される。

  • 通常、カフの幅は上腕の径より20%大きいものを使用し、カフ内部の空気嚢(くうきのう)は、少なくとも腕の周囲の半分を覆い、動脈の真上に置く必要がある。
  • 水銀柱が傾斜していると、水銀はより上に上がるため測定値は高めになる。
  • カフの巻く位置が心臓の位置より高いと血圧は低く測定される、低いと、血圧は高く測定される。
カフ最高血圧最低血圧
幅が狭い高め高め
幅が広い低め低め
巻きがゆるい高め高め
巻きがきついほとんど変わらない低め

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P318~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

②喉頭痙攣について正しいのはどれか 3つ

(1)高齢者で発症しやすい。
(2)陰圧性肺水腫に注意する。
(3)声帯の筋攣縮が原因である。
(4)筋弛緩薬投与で痙攣を解除できる。
(5)完全覚醒前の抜管操作により防げる。

答え

(2),(3),(4)

  • ×(1)高齢者で発症しやすい。
  • ○(2)陰圧性肺水腫に注意する。
  • ○(3)声帯の筋攣縮が原因である。
  • ○(4)筋弛緩薬投与で痙攣を解除できる。
  • ×(5)完全覚醒前の抜管操作により防げる。

  • 声帯の筋攣縮によって声門が反射的に閉鎖された状態
  • 小児に起こりやすい
  • 完全に覚醒した状態や筋弛緩状態では生じない
  • 半覚醒状態での抜管刺激や吸引操作、咽頭の血液や異物が誘因となって起きる
  • 可及的速やかに咽頭痙攣が解除されない場合、持続する低酸素血症と吸気努力により、陰圧性肺気腫を生じることがある
  • 下顎挙上と高いCPAPを試みるが、改善されない場合は筋弛緩薬を投与して痙攣を解除する

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P265,609
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

③プロポフォール注入症候群について正しいのはどれか 3つ

(1)乳酸アシドーシスを生じる。
(2)小児に特有の症候群である。
(3)不整脈は治療に反応しやすい。
(4)プロポフォールの長期大量投与によって生じやすい。
(5)ミトコンドリアにおける脂質代謝障害に基づく機序が示唆されている。

答え

(1),(4),(5)

  • ○(1)乳酸アシドーシスを生じる。
  • ×(2)小児に特有の症候群である。
  • ×(3)不整脈は治療に反応しやすい。
  • ○(4)プロポフォールの長期大量投与によって生じやすい。
  • ○(5)ミトコンドリアにおける脂質代謝障害に基づく機序が示唆されている。

  • 臨床症状として代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、急性心不全を伴う心筋症がある。
  • 成人例も報告されている。
  • ミトコンドリアの障害による遊離脂肪酸代謝不全をきたして発症すると考えられている

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P204
周術期管理チーム認定試験2020年A参考

④成人患者での術後悪心・嘔吐のリスク因子として正しいのはどれか 2つ

(1)女性
(2)喫煙者
(3)静脈麻酔
(4)術前の不安
(5)乗り物酔いの既往

答え

(1),(5)

  • ○(1)女性
  • ×(2)喫煙者
  • ×(3)静脈麻酔
  • ×(4)術前の不安
  • ○(5)乗り物酔いの既往

  • リスク因子 Apfelスコア
    • 女性、非喫煙者、PONVや乗り物酔いの既往、術後オピオイド使用

周術期管理チームテキスト第4版 P754
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

⑤配合変化に注意すべき薬剤の組み合わせで正しいのはどれか 3つ

(1)ミダゾラム  レミフェンタニル
(2)プロポフォール  ミダゾラム
(3)ドブタミン  炭酸水素ナトリウム
(4)チオペンタール  ロクロニウム
(5)炭酸水素ナトリウム  グルコン酸カルシウム

答え

(3),(4),(5)

  • ×(1)ミダゾラム レミフェンタニル
  • ×(2)プロポフォール ミダゾラム
  • ○(3)ドブタミン 炭酸水素ナトリウム
  • ○(4)チオペンタール ロクロニウム
  • ○(5)炭酸水素ナトリウム グルコン酸カルシウム

ちなみに心臓血管外科の手術ではレミフェンタニル、プロポフォール、ミダゾラムを組み合わせて使用されることがよくあります。
炭酸水素ナトリウム、チオペンタールはアルカリ性であり、アルカリ性薬剤は相互作用を起こしやすいです。

周術期管理チームテキスト第4版 P39~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

⑥全身麻酔中に心室細動を認めた場合の初期対応で正しいのはどれか 3つ

(1)応援の要請
(2)非同期除細動
(3)緊急カートの準備
(4)リドカインの静脈内投与
(5)アドレナリンの気管内投与

答え

(1),(2),(3)

  • ○(1)応援の要請
  • ○(2)非同期除細動
  • ○(3)緊急カートの準備
  • ×(4)リドカインの静脈内投与
  • ×(5)アドレナリンの気管内投与

  • 術中心停止に対するプラクティカルガイド
    • P8 図2 心停止治療のアルゴリズム
      ↓麻酔科学会プラティカルガイドのリンクページ
医療関係者の皆様 - 指針・ガイドライン|公益社団法人 日本麻酔科学会
日本麻酔科学会のホームページです。

術中心停止に対するプラクティカルガイドは受験範囲内ですので要チェックです

周術期管理チームテキスト第4版
術中心停止に対するプラクティカルガイド P8 図2心停止治療のアルゴリズム
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

⑦末梢神経ブロックと該当する術式の組み合わせで誤っているのはどれか 1つ

a 開胸術 肋間神経ブロック
b 開頭術 眼窩下神経ブロック
c 上肢の骨折 腕神経叢ブロック
d 人工膝関節置換術 大腿神経ブロック
e 下腹部開腹手術 腹横筋膜面ブロック

答え

(b)

  • ○a 開胸術 肋間神経ブロック
  • ×b 開頭術 眼窩下神経ブロック
  • ○c 上肢の骨折 腕神経叢ブロック
  • ○d 人工膝関節置換術 大腿神経ブロック
  • ○e 下腹部開腹手術 腹横筋膜面ブロック

  • 頭部手術では眼窩上神経ブロックが行われる

周術期管理チームテキスト第4版 P782 図2
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

⑧除細動器(2 相式)について正しいのはどれか 3つ

(1)心房細動や心房粗動時は R 波同期を行う。
(2)ペーストは超音波用ペーストと共通である。
(3)日常点検で心電図用コードの確認は不要である。
(4)心室細動時の体表設定出力は 150~200 J である。
(5)電極パドルは日常的に清掃し,破損の有無を確認する。

答え

(1),(4),(5)

  • ○(1)心房細動や心房粗動時は R 波同期を行う。
  • ×(2)ペーストは超音波用ペーストと共通である。
  • ×(3)日常点検で心電図用コードの確認は不要である。
  • ○(4)心室細動時の体表設定出力は 150~200 J である。
  • ○(5)電極パドルは日常的に清掃し,破損の有無を確認する。

  • ペーストは専用ペーストである
  • 体表150~200J、直接15~20J程度
  • 日常点検で心電図用コードの確認は必要である。充電状態、簡易的通電テストなど添付文書や取扱説明書に準じて保守管理を行う。

以下AIより作成

  • 【同期と非同期の違い】
    • 同期通電はカルディオバージョンと呼ばれ、頻拍性不整脈(上室性頻拍、心房粗動、心房細動など)に対して行われます。
    • 非同期通電は除細動と呼ばれ、致死性不整脈(心室細動、無脈性心室頻拍など)に対して行われます。
  • 【同期と非同期の違いの理由】
    • 心室細動や無脈性心室頻拍ではQRS波の規則性がなくなるため、同期させることができません。
    • 一方、上室性頻拍、心房粗動、心房細動ではQRS波は正常なため、同期させることができます。

周術期管理チームテキスト第4版 P154~
周術期管理チーム認定試験2024A参考

⑨0.75%ロピバカインと生理食塩液を用いて 0.25%ロピバカイン溶液 30 mL を作るには生理食塩液は何 mL 必要か 1つ

a 5
b 10
c 15
d 20
e 25

答え

(d)

  • ×a 5
  • ×b 10
  • ×c 15
  • ○d 20
  • ×e 25

  • 0.75%(濃い)→0.25%(薄い) 3倍に希釈すれば濃度が1/3になる。
  • 0.75%薬液10mLを30mLにすればよい。(生食を20mL足す)
  • 3倍希釈 →0.75%:生食=1:2=10mL:20mL 
  • 0.0025×30=0.0075×□ 生食■=30-□ ■=20

周術期管理チームテキスト第4版
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

⑩HBV 感染者の静脈路確保時に,誤って患者血液の付着した針を自分の指に刺してしまった。正しいのはどれか 3つ

(1)血液を絞り出す。
(2)流水で洗い流す。
(3)自身の HBs 抗体を調べる。
(4)患者の HBs 抗体を調べる。
(5)クロルヘキシジンで消毒する。

答え

(1),(2),(3)

  • ○(1)血液を絞り出す。
  • ○(2)流水で洗い流す。
  • ○(3)自身の HBs 抗体を調べる。
  • ×(4)患者の HBs 抗体を調べる。
  • ×(5)クロルヘキシジンで消毒する。

  • 自身のHBs 抗原と HBs 抗体の検査を実施。HBs 抗原・HBs 抗体ともに陰性の場合には、高力価 HBs ヒト免疫グロブリン(HBIG)を遅くとも 48 時間以内に接種
  • 消毒や切開を考えている時間があるなら即座に流水で洗い流すことが最優先される

周術期管理チームテキスト第4版 P133~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考

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