周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。
- ①麻酔中,下図に示すようにカプノグラムのⅢ相の傾斜が急になった。原因はどれか。 1つ
- ②危機的出血時にB 型の患者に投与できる適合血の組み合わせとして正しいのはどれか。 2つ
- ③非ステロイド性抗炎症薬の副作用として正しいのはどれか。 3つ
- ④局所麻酔薬中毒について正しいのはどれか。 2つ
- ⑤体外式ペースメーカについて正しいのはどれか。 3つ
- ⑥脊髄くも膜下麻酔後頭痛について正しいのはどれか。 3つ
- ⑦Child-Pugh 分類の評価項目に含まれないのはどれか。 1つ
- ⑧妊娠末期の生理・解剖学的特徴で正しいのはどれか。 3つ
- ⑨体位を原因とする末梢神経障害で最も発生頻度が高いのはどれか。 1つ
- ⑩手術管理にかかわる看護師の資格について誤っているのはどれか。 1つ
①麻酔中,下図に示すようにカプノグラムのⅢ相の傾斜が急になった。原因はどれか。 1つ
a 気管支攣縮
b 肺血栓塞栓症
c 調節呼吸中の自発呼吸
d 気管チューブのカフリーク
e 麻酔器の二酸化炭素吸収剤の劣化

答え
(正解:a)

- (1)「PETCO2の突然の低下」
- 肺塞栓 PETCO2の急激な低下から疑う。SPO2低下や血圧の低下を伴う
- (2)「プラトー部分の切れ込み」
- 調節呼吸中の自発呼吸の出現・手術操作による横隔膜や胸壁の圧迫
- (3)「基線の上昇」
- 基線が[0mmHgに戻らない。吸気弁の異常、麻酔器の二酸化炭素吸収剤(ソーダライム)の劣化などが考えられる。
- (4)「プラトー部分が途中で低下」
- 呼吸回路の外れや、気管チューブのカフリーク
- (5)「右上がり」
- ①呼出障害。呼気延長。(気道狭窄、慢性閉塞性肺疾患、喘息発作、気管支痙攣など)②不完全な閉塞(呼吸回路や気管チューブの閉塞)もし完全閉塞の場合はカプノグラムの波形は消失する。
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P345~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
②危機的出血時にB 型の患者に投与できる適合血の組み合わせとして正しいのはどれか。 2つ
(1)赤血球液:B 型,新鮮凍結血漿:AB 型
(2)赤血球液:B 型,新鮮凍結血漿:O 型
(3)赤血球液:AB 型,新鮮凍結血漿:A 型
(4)赤血球液:O 型,新鮮凍結血漿:O 型
(5)赤血球液:O 型,新鮮凍結血漿:B 型
答え
(1),(5)
- ○(1)赤血球液:B 型,新鮮凍結血漿:AB 型
- ×(2)赤血球液:B 型,新鮮凍結血漿:O 型
- ×(3)赤血球液:AB 型,新鮮凍結血漿:A 型
- ×(4)赤血球液:O 型,新鮮凍結血漿:O 型
- ○(5)赤血球液:O 型,新鮮凍結血漿:B 型
患者血液型 | RBC(赤血球) | FFP(血漿) | PC(血小板) |
---|---|---|---|
A | A > O | A > AB > B | A > AB > B |
B | B > O | B >AB > A | B >AB > A |
AB | AB > A = B >O | AB > A =B | AB > A =B |
O | Oのみ | 全型適合 | 全型適合 |
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P581 表4
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
③非ステロイド性抗炎症薬の副作用として正しいのはどれか。 3つ
(1)徐脈
(2)掻痒感
(3)腎機能障害
(4)消化管出血
(5)血小板凝集抑制
答え
(3),(4),(5)
- ×(1)徐脈
- ×(2)掻痒感
- ○(3)腎機能障害
- ○(4)消化管出血
- ○(5)血小板凝集抑制
NSAIDsの副作用
- 消化管障害、腎障害、心血管障害、抗血小板作用
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P444
周術期管理チーム認定試験2020年A参考
④局所麻酔薬中毒について正しいのはどれか。 2つ
(1)不整脈に対してリドカインを投与する。
(2)脂肪乳剤投与は循環が安定した後も継続する。
(3)視覚の異常は局所麻酔薬中毒の症状のひとつである。
(4)局所麻酔薬中毒による心停止は蘇生に反応しやすい。
(5)痙攣時,血圧が不安定な場合はプロポフォールを投与する。
答え
(2),(3)
- ×(1)不整脈に対してリドカインを投与する。
- ○(2)脂肪乳剤投与は循環が安定した後も継続する。
- ○(3)視覚の異常は局所麻酔薬中毒の症状のひとつである。
- ×(4)局所麻酔薬中毒による心停止は蘇生に反応しやすい。
- ×(5)痙攣時,血圧が不安定な場合はプロポフォールを投与する。
局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド
- B.徴候、症状
- 1) 中枢神経系の症候
局所麻酔薬の中枢神経系への作用は、初期には大脳皮質の抑制系の遮断に伴う刺激症状から生じる。舌、口唇のしびれ、金属様の味覚、多弁、呂律困難、興奮、めまい、視力、聴力障害、ふらつき、痙攣などである。その後、興奮経路の遮断が生じると、抑制症状としての譫妄、意識消失、呼吸停止などが引き続く。同じく約60%の症例においては、典型的な神経症状が緩徐に悪化する経過をとるが、直接に痙攣や心停止で発見されることもある。 - 2) 心血管系の症候
初期の神経症状に伴って、高血圧、頻脈、心室性期外収縮が生じる。その後、洞性徐脈、伝導障害、低血圧、循環虚脱、心静止などの抑制徴候が生じる。しかしながら、局所麻酔薬の直接の血管内への注入の場合などは、神経症候なしで循環虚脱を生じる。心電図上は、PR延長、QRS幅の増大が特徴的である。
- 1) 中枢神経系の症候
表2 米国区域麻酔学会の局所麻酔薬中毒チェックリスト
局所麻酔薬中毒の薬物治療は他の心停止のときとは異なる。
- 助けを呼ぶ
- 初期治療
- 気道確保:100%酸素で換気
- 痙攣の抑制:ベンゾジアゼピン系が望ましい、循環不安定時プロポフォールを避ける
- 人工心肺の可能な近くの施設へ連絡する
- 不整脈の管理
- 薬物治療が適正になるまで、もしくはさらに長い時間 BLS、ACLS を行う
- バゾプレシン、Ca 拮抗薬、β遮断薬、高肝機能薬は避ける
- アドレナリンの投与量は1回あたり1μg/kg未満
- 20%脂肪乳剤による治療
- 1.5 mL/kg(標準体重)を 1 分以上かけて静注
- 0.25 mL/kg/min を持続静注
- 改善がなければ、1~2 回急速静注を繰り返す
- 血圧が低いままであれば、流速を 2 倍の 0.5 mL/kg/min にする
- 循環が安定しても、最長 10 分は持続投与を行う
- 推奨される投与量の上限は、最初の 30 分で約 10 mL/kg
周術期管理チームテキスト第4版 P218~表2(282,293,271)
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑤体外式ペースメーカについて正しいのはどれか。 3つ
(1)ペーシング不全では接続を確認する。
(2)一度測定したペーシング閾値は変化しない。
(3)オーバーセンシングでは自己波形に反応しない。
(4)埋め込み型ペースメーカに比べて,電磁障害を受けやすい。
(5)ペースメーカ本体,延長ケーブルおよびペーシングリードシステムで構成される。
答え
(1),(4),(5)
- ○(1)ペーシング不全では接続を確認する。
- ×(2)一度測定したペーシング閾値は変化しない。→変化する1日1回測定する
- ×(3)オーバーセンシングでは自己波形に反応しない。→反応しないのはアンダーセンシング
- ○(4)埋め込み型ペースメーカに比べて,電磁障害を受けやすい。
- ○(5)ペースメーカ本体,延長ケーブルおよびペーシングリードシステムで構成される。
周術期管理チームテキスト第4版 P153
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑥脊髄くも膜下麻酔後頭痛について正しいのはどれか。 3つ
(1)高齢男性に多い。
(2)頭痛は坐位で軽減する。
(3)輸液負荷は治療法の 1 つである。
(4)重症例では脳神経症状をきたす。
(5)Quincke 針よりもペンシルポイント針で発生率が低い。
答え
(3),(4),(5)
- ×(1)高齢男性に多い。→女性に多い
- ×(2)頭痛は坐位で軽減する。→坐位で増強。仰臥位で軽減。
- ○(3)輸液負荷は治療法の 1 つである。
- ○(4)重症例では脳神経症状をきたす。
- ○(5)Quincke 針よりもペンシルポイント針で発生率が低い。
悪心・嘔吐や食欲不振をきたす。重症例では自己血パッチを行う。
周術期管理チームテキスト第4版 P288
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑦Child-Pugh 分類の評価項目に含まれないのはどれか。 1つ
a 脳症
b 腹水
c 血清ビリルビン
d プロトロンビン時間
e 血清トランスアミナーゼ
答え
(e)
- ○a 脳症
- ○b 腹水
- ○c 血清ビリルビン
- ○d プロトロンビン時間
- ×e 血清トランスアミナーゼ
肝硬変重症度分類 点数が多いほど悪い
5項目 残りは血清アルブミン。各1点~3点。
周術期管理チームテキスト第4版 P238、416
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑧妊娠末期の生理・解剖学的特徴で正しいのはどれか。 3つ
(1)凝固亢進状態となる。
(2)機能的残気量は減少する。
(3)生理的脊椎弯曲は増強する。
(4)揮発性吸入麻酔薬の感受性は低下する。
(5)子宮胎盤系の血流調節には自動調節能がない。
答え
(1),(2),(5)
- ○(1)凝固亢進状態となる。
- ○(2)機能的残気量は減少する。
- ×(3)生理的脊椎弯曲は増強する。
- ×(4)揮発性吸入麻酔薬の感受性は低下する。
- ○(5)子宮胎盤系の血流調節には自動調節能がない。
- (2)子宮によって横隔膜は頭側に押し上げられ機能的残気量は20%減少する
- (3)生理的脊椎弯曲が減少していることも麻酔域上昇の要因となっている
- (4)プロゲステロンや分娩時のエフェドルフィンによる鎮痛作用によって、揮発性吸入麻酔薬の感受性が亢進し、ハロタンやイソフルランのMACは25~40%低下している。
周術期管理チームテキスト第4版 P446~
周術期管理チーム認定試験2024A参考
⑨体位を原因とする末梢神経障害で最も発生頻度が高いのはどれか。 1つ
a 橈骨神経麻痺
b 尺骨神経麻痺
c 坐骨神経麻痺
d 総腓骨神経麻痺
e 外側大腿皮神経麻痺
答え
(b)
末梢神経障害 0.03%
- ×a 橈骨神経麻痺
- ○b 尺骨神経麻痺 →28%
- ×c 坐骨神経麻痺 →7%
- ×d 総腓骨神経麻痺
- ×e 外側大腿皮神経麻痺
腕神経叢麻痺(わんしんけいそうまひ)20%(2番目)
周術期管理チームテキスト第4版 P530~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑩手術管理にかかわる看護師の資格について誤っているのはどれか。 1つ
a 認定資格は 4 つある。
b 手術看護認定看護師は日本看護協会が設立した資格である。
c 周術期管理チーム看護師は 2 年以上の周術期関連の実務経験が必要である。
d 手術看護実践指導看護師はクリニカルラダーレベルIIの看護師が資格取得できる。
e 特定行為研修修了者は特定行為区分に含まれる手順書により特定行為を実施することができる。
答え
(d)
- ○a 認定資格は 4 つある。
- ○b 手術看護認定看護師は日本看護協会が設立した資格である。
- ○c 周術期管理チーム看護師は 2 年以上の周術期関連の実務経験が必要である。
- ×d 手術看護実践指導看護師はクリニカルラダーレベルIIの看護師が資格取得できる。
- ○e 特定行為研修修了者は特定行為区分に含まれる手順書により特定行為を実施することができる。
- 「手術認定看護師」「手術看護実践指導看護師」「周術期管理チーム看護師」「看護師の特定行為研修」がある
- 手術看護実践指導看護師はクリニカルラダーレベルⅢである。
周術期管理チームテキスト第4版 P133~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考