周術期管理チーム認定試験【練習問題⑤ー11】

練習問題

周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。

①手術室の災害対策で正しいのはどれか。 1つ

a 手術室の火災では CO2 消火器より粉末消火器が推奨される。
b 災害停電時に使われる自家発電装置には発電容量の限界がない。
c 災害対策マニュアルは詳細な冊子にまとめ,各手術室に配置する。
d 大地震発生時には直ちにすべての手術操作を中断し,患者の避難を行う。
e 災害拠点病院では事業継続計画(BCP)の策定が指定要件になっている。

答え

(e)

  • ×a 手術室の火災では CO2 消火器より粉末消火器が推奨される。
    →粉末が充満するため、 CO2 消火器を推奨する。
  • ×b 災害停電時に使われる自家発電装置には発電容量の限界がない。
    →限界があるため、緊急時の優先度を決めておく
  • ×c 災害対策マニュアルは詳細な冊子にまとめ,各手術室に配置する。
    →非常時に簡単に読み上げられる具体的な指示が明記されているアクションカード形式が望ましい。
  • ×d 大地震発生時には直ちにすべての手術操作を中断し,患者の避難を行う。
    →手術の中断は必要であるが、すぐに閉創し手術を中止し、避難する必要は無い。災害対策本部の指示を待つ。(災害対策本部が機能していない可能性も考慮し、現場のリーダーの指示に従う:個人的意見)
  • ○e 災害拠点病院では事業継続計画(BCP)の策定が指定要件になっている。

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P119
周術期管理チーム認定試験2024年参考

②手術室の清浄度と空調について正しいのはどれか。 1つ

a 室温は 18~22℃が目安である。
b 一般手術室での 1 時間あたりの最低換気回数は 8 回である。
c 空気の汚染源は主に開放したドアから流入する空気である。
d 清浄度クラス I では高性能フィルタを用いた層流方式が適用される。
e 手術室の四隅にある吸込み口を塞ぐと乱流を生じ,周囲の空気が術野へ流入する。

答え

(e)

  • ×a 室温は 18~22℃が目安である。→22~24~26
  • ×b 一般手術室での 1 時間あたりの最低換気回数は 8 回である。→35~45回/h
  • ×c 空気の汚染源は主に開放したドアから流入する空気である。
  • ×d 清浄度クラス I では高性能フィルタを用いた層流方式が適用される。
  • ○e 手術室の四隅にある吸込み口を塞ぐと乱流を生じ,周囲の空気が術野へ流入する。”
  • 正解:e

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P83
周術期管理チーム認定試験2024年参考

③医療器具の管理について正しいのはどれか。 1つ

a ポビドンヨードは金属腐食性が高い。
b クリティカル器材は洗浄+滅菌処理を行う。
c グルタラールは強力な殺菌力を持ち安全性も高い。
d ベンザルコニウム塩化物は環境表面の消毒には適さない。
e 喉頭鏡ブレードや呼吸器回路はノンクリティカル器材である。

答え

(b)

  • ×a ポビドンヨードは金属腐食性が高い。
    →高くない
  • ○b クリティカル器材は洗浄+滅菌処理を行う。
  • ×c グルタラールは強力な殺菌力を持ち安全性も高い。
    →高水準消毒薬は、蒸気暴露による呼吸器障害や皮膚付着による皮膚炎、化学熱傷が報告されている
  • ×d ベンザルコニウム塩化物は環境表面の消毒には適さない。
    →ノンクリティカル(環境表面)に適している
  • ×e 喉頭鏡ブレードや呼吸器回路はノンクリティカル器材である。
    →セミクリティカル

関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P224
周術期管理チーム認定試験2020年参考

④手術部位感染(SSI)防止対策について正しいのはどれか。 1つ

a 上皮化が完成するのに 72 時間以上を要する。
b 手術時手洗いに用いる水は水道水より滅菌水が効果的である。
c 4 週間の禁煙により SSI 発症率が非喫煙者と同程度まで低下する。
d 術前より血糖コントロールを行い,HbA1c を 8% 以下に低下させる。
e 予防的抗菌薬の追加投与のタイミングは,半減期の 4 倍程度が推奨される。

答え

(c)

  • ×a 上皮化が完成するのに 72 時間以上を要する。→48時間
  • ×b 手術時手洗いに用いる水は水道水より滅菌水が効果的である。
    →水道水をもちいてもよい
  • ○c 4 週間の禁煙により SSI 発症率が非喫煙者と同程度まで低下する。
  • ×d 術前より血糖コントロールを行い,HbA1c を 8% 以下に低下させる。
    →80~110mg/dLの血糖管理
  • ×e 予防的抗菌薬の追加投与のタイミングは,半減期の 4 倍程度が推奨される。
    →半減期、腎機能を考慮して追加投与する

周術期管理チームテキスト第4版 P127
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑤末梢静脈路確保について誤っているのはどれか。 1つ

a 麻痺のある患者は麻痺側での穿刺を優先する。
b 上肢を心臓より低くすることで穿刺する静脈が視認しやすくなる。
c 末梢静脈の視認が困難な場合には超音波ガイド下での穿刺が有用である。
d 血管が浮き出てこない場合はアルコール綿などで中枢から末梢側に擦ると良い。
e 橈側皮静脈の末梢側は橈骨神経損傷の可能性があるため選択しないことが望ましい。

答え

(a)

  • ×a 麻痺のある患者は麻痺側での穿刺を優先する。
    →浮腫になりやすい。点滴が漏れた際痛みを感じにくい為。
  • ○b 上肢を心臓より低くすることで穿刺する静脈が視認しやすくなる。
  • ○c 末梢静脈の視認が困難な場合には超音波ガイド下での穿刺が有用である。
  • ○d 血管が浮き出てこない場合はアルコール綿などで中枢から末梢側に擦ると良い。
  • ○e 橈側皮静脈の末梢側は橈骨神経損傷の可能性があるため選択しないことが望ましい。

周術期管理チームテキスト第4版 p242
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑥一般手術室とバイオクリーン手術室で規定が異なる要件はどれか。 1つ

a 湿度
b 照明
c 室内圧
d 換気回数
e 電気設備

答え

(d)

  • ×a 湿度 45~50~60%
  • ×b 照明 全般1,000、術野10,000~100,000ルクス
  • ×c 室内圧 15Pa(1.5mmH2O)
  • ○d 換気回数 一般35~45回バイオ120~200回/h
  • ×e 電気設備 一般非常電源または特別非常電源、瞬時特別非常電源で非接地配線方式

周術期管理チームテキスト第4版 P83 表1
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑦麻酔器について正しいのはどれか。 1つ

a APL 弁は麻酔回路の吸気側にある。
b 酸素濃度計は大気開放での較正が必要である。
c 2 つ以上の気化器を同時に使用することができる。
d 中央配管駆動の麻酔器はボンベを接続することができない。
e 空気の供給圧は亜酸化窒素,酸素より 30 kPa 程度高くなっている。

答え

(b)

  • ×a APL 弁は麻酔回路の吸気側にある。(APL弁:圧力の調節)
    →呼気側にある(息を吐く側)。うまく息を吐けないと呼吸の渋滞が起こり肺に圧力がかかる。
  • ○b 酸素濃度計は大気開放での較正が必要である。
  • ×c 2 つ以上の気化器を同時に使用することができる。
    →気化器始業前点検:気化器が2つ作動しないように確認。P92
  • ×d 中央配管駆動の麻酔器はボンベを接続することができない。
    →ガス供給が突然途絶することを考え、ボンベを常時装備しておく。
  • ×e 空気の供給圧は亜酸化窒素,酸素より 30 kPa 程度高くなっている。
    →酸素の方が高くなっている。低酸素防止の為。

周術期管理チームテキスト第4版 P89~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑧災害対策について正しいのはどれか。 1つ

a 停電時は空調が最初に復旧する。
b 断水時でも EOG 滅菌装置は稼働できる。
c 生命維持管理装置は常に非常電源に接続する。
d 断水が続いてもタンク内の水質は担保されている。
e 火災に対して ASA では ABC 消火器を推奨している。

答え

(c)

  • ×a 停電時は空調が最初に復旧する。
    →生命維持に必要な、各非常電源を復旧させる
  • ×b 断水時でも EOG 滅菌装置は稼働できる。→できない
  • ○c 生命維持管理装置は常に非常電源に接続する。
  • ×d 断水が続いてもタンク内の水質は担保されている。
    →アルコール擦り込み式手洗いなど検討する。
  • ×e 火災に対して ASA では ABC 消火器を推奨している。
    →ASA:米国麻酔学会。ABC消化器:粉末。CO2消化器推奨。

周術期管理チームテキスト第4版 P117~
周術期管理チーム認定試験2024参考

⑨ハラスメントについて誤っているのはどれか。 1つ

a 同性に対するセクシャルハラスメントは起こらない。
b 手術室はハラスメントが起こりやすい環境とされている。
c 加害者の意図にかかわらず,相手が不快に思うかで判断される。
d 多くの施設では人権にかかわる委員会がハラスメント対応の中心的な役割を果たす。
e 職務上の地位を利用して部下・後輩に対して行う就労上の不適切な発言や行動をパワー・ハラスメントという。

答え

(a)

  • ×a 同性に対するセクシャルハラスメントは起こらない
    テキストより例:男性から男性に対して「女みたいに~」「男のくせに」
  • ○b 手術室はハラスメントが起こりやすい環境とされている。
  • ○c 加害者の意図にかかわらず,相手が不快に思うかで判断される。
  • ○d 多くの施設では人権にかかわる委員会がハラスメント対応の中心的な役割を果たす。
  • ○e 職務上の地位を利用して部下・後輩に対して行う就労上の不適切な発言や行動をパワー・ハラスメントという。

周術期管理チームテキスト第4版 P121~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

⑩空調設備について正しいのはどれか。1つ

a NICU は一般清潔区域である。
b 一般手術室は高度清潔区域である。
c 差圧ダンパは日常的に開閉状態を点検する必要がある。
d 圧力バランスは自動ドアの開閉でも保たれるように設計されている。
e 空調の騒音レベルはバイオクリーン手術室では一般手術室より低く設定されている。

答え

(c)

  • ×a NICU は一般清潔区域である。
    →準清潔区域(清潔度クラスⅢ)
  • ×b 一般手術室は高度清潔区域である。
    →清潔区域(清潔度クラスⅡ)
  • ○c 差圧ダンパは日常的に開閉状態を点検する必要がある。
  • ×d 圧力バランスは自動ドアの開閉でも保たれるように設計されている。
    →自動ドアの開閉により圧力バランスが乱れるため、開閉は最小限にとどめる。
  • ×e 空調の騒音レベルはバイオクリーン手術室では一般手術室より低く設定されている。
    →バイオクリーン手術室:45~50、一般手術室:40~45dB。換気性能を上げると送風音や機械音が大きくなるためと思われる。

周術期管理チームテキスト第4版 P187~
周術期管理チーム認定試験2024年参考

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