周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。
- ①放射線被曝の確定的影響で,閾値線量が最も低いのはどれか。 1つ
- ②サプリメントで易出血になるものはどれか。 2つ
- ③ラテックスアレルギーのリスクが高いのはどれか。 3つ
- ④頚部手術の術後出血で血腫による気道圧迫を疑う所見はどれか。 3つ
- ⑤術後の呼吸管理について正しいのはどれか。 3つ
- ⑥手術野消毒に使用する生体消毒薬の組み合わせで誤っているのはどれか。 1つ
- ⑦筋弛緩モニタリングについて正しいのはどれか。 2つ
- ⑧一般非常電源の立ち上がり時間で正しいのはどれか。 1つ
- ⑨医薬品の管理について誤っているのはどれか。 1つ
- ⑩動脈圧トランスデューサーの高さを 40 cm 上昇させると血圧表示は何 mmHg 変化するか。ただし,水銀の比重は 13.6 g/cm3 とする。1 つ
①放射線被曝の確定的影響で,閾値線量が最も低いのはどれか。 1つ
a 脱毛
b 白内障
c 造血能低下
d 流産(胚死亡)
e 男性生殖腺の永久不妊
答え
(d)
- テキスト第4版 P111 表1確定的影響の閾値
- ×a 脱毛 2000~4000
- ×b 白内障 2000~10000
- ×c 造血能低下 500
- ○d 流産(胚死亡) 100
- ×e 男性生殖腺の永久不妊 3500~6000
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P108~
周術期管理チーム認定試験2024年参考
②サプリメントで易出血になるものはどれか。 2つ
(1)エフェドラ
(2)バレリアン
(3)ガーリック
(4)イチョウ葉エキス
(5)セントジョーンズワート
答え
(3),(4)
- テキスト第4版 P487術前内服の継続あるいは中止の対処
- ×(1)エフェドラ 心拍数増加、血圧上昇、ハロタンと併用で不整脈
- ×(2)バレリアン 鎮静
- ○(3)ガーリック(ニンニク)
- ○(4)イチョウ葉エキス
- ×(5)セントジョーンズワート 鎮静、CYPの作用減弱
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P487
周術期管理チーム認定試験2024年参考
③ラテックスアレルギーのリスクが高いのはどれか。 3つ
(1)喘息
(2)花粉症
(3)医療従事者
(4)頻回の手術歴
(5)キウイアレルギー
答え
(e)
- ×(1)喘息
- ×(2)花粉症
- ○(3)医療従事者
- ○(4)頻回の手術歴
- ○(5)キウイアレルギー→バナナ、アボガド、クリなど
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P605コラム4
周術期管理チーム認定試験2020年参考
④頚部手術の術後出血で血腫による気道圧迫を疑う所見はどれか。 3つ
(1)呼気喘鳴
(2)努力呼吸
(3)起坐呼吸
(4)吸気時の肋間陥凹
(5)副交感神経刺激徴候
答え
(2),(3),(4)
- ×(1)呼気喘鳴
- ○(2)努力呼吸
- ○(3)起坐呼吸
- ○(4)吸気時の肋間陥凹
- ×(5)副交感神経刺激徴候
- 診断
- 頚部の腫脹
- 呼吸困難、努力呼吸、頻呼吸
- 吸気時の喘鳴、吸気時の肋間・鎖骨上窩・胸骨上窩などの陥凹
- 交換神経刺激徴候(頻脈、高血圧、発刊など)
- 坐位呼吸
周術期管理チームテキスト第4版 P761
周術期管理チーム認定試験2024年参考
⑤術後の呼吸管理について正しいのはどれか。 3つ
(1)オピオイドは 1 回換気量を減少させる。
(2)咳ができることは気道反射が保たれている目安となる。
(3)気道手術後の気道狭窄・閉塞は病棟帰室後も注意する。
(4)酸素投与下で動脈血酸素飽和度 96%は退出基準を満たす。
(5)退室可否を判断するための呼吸数計測は呼吸を促して行う。
答え
(2),(3),(4)
- ×(1)オピオイドは 1 回換気量を減少させる。
→P767 呼吸数は減るが、1回換気量はあまり減少しない - ○(2)咳ができることは気道反射が保たれている目安となる。
→誤嚥を防ぐには咳反射が重要 - ○(3)気道手術後の気道狭窄・閉塞は病棟帰室後も注意する。
- ○(4)酸素投与下で動脈血酸素飽和度 96%は退出基準を満たす。
- ×(5)退室可否を判断するための呼吸数計測は呼吸を促して行う。→重視しないで計測
周術期管理チームテキスト第4版 P765~回復室の退室許可
周術期管理チーム認定試験2024年参考
⑥手術野消毒に使用する生体消毒薬の組み合わせで誤っているのはどれか。 1つ
a 正常皮膚ーーー0.5%クロルヘキシジン
b 正常皮膚ーーー10%ポビドンヨード
c 熱傷皮膚ーーー10%ポビドンヨード
d 膣粘膜ーーー0.5%クロルヘキシジン
e 結膜嚢ーーー0.02%塩化ベンゼトニウム
答え
(d)
- ○a 正常皮膚 ーーー0.5%クロルヘキシジン
- ○b 正常皮膚 ーーー10%ポビドンヨード
- ○c 熱傷皮膚 ーーー10%ポビドンヨード
- ×d 膣粘膜 ーーー0.5%クロルヘキシジン
- ○e 結膜嚢 ーーー0.02%塩化ベンゼトニウム
- クロルヘキシジンは通常0.05%液が創部消毒に使用され、0.5%液の高濃度を使用した場合はショック症状を生じる可能性がある。膣粘膜ではクロルヘキシジンは使用されない。
周術期管理チームテキスト第4版 P226
周術期管理チーム認定試験2024年参考
⑦筋弛緩モニタリングについて正しいのはどれか。 2つ
(1)手術中は PTC がゼロの状態を維持する。
(2)TOF 比>0.9 は筋弛緩からの至適回復を意味する。
(3)尺骨神経刺激に対する反応を測定することが多い。
(4)TOF 刺激に対する反応数で筋弛緩薬からの至適回復を評価できる。
(5)スガマデクスで筋弛緩効果を拮抗する場合には筋弛緩モニタリングは不要である。
答え
(2),(3)
- ×(1)手術中は PTC がゼロの状態を維持する。
- ○(2)TOF 比>0.9 は筋弛緩からの至適回復を意味する。
- ○(3)尺骨神経刺激に対する反応を測定することが多い。
- ×(4)TOF 刺激に対する反応数で筋弛緩薬からの至適回復を評価できる。
- ×(5)スガマデクスで筋弛緩効果を拮抗する場合には筋弛緩モニタリングは不要である。
- PTC(post tetanic count)ポストテタニックカウントP364
- TOF=0(ゼロ)以下の深い筋弛緩状態を観察する
- TOF 刺激に対する反応数ではなくTOF 比>0.9により至適回復を評価できる。
- スガマデクスで筋弛緩効果を拮抗する場合には筋弛緩モニタリングは不要かどうかは議論になる
周術期管理チームテキスト第4版 P362
周術期管理チーム認定試験2024年参考
⑧一般非常電源の立ち上がり時間で正しいのはどれか。 1つ
a 0.5 秒以内
b 10 秒以内
c 20 秒以内
d 40 秒以内
e 60 秒以内”
答え
(d)
- ×a 0.5 秒以内 →瞬時特別非常電源
- ×b 10 秒以内 →特別非常電源
- ×c 20 秒以内
- ○d 40 秒以内 →一般非常電源
- ×e 60 秒以内”
周術期管理チームテキスト第4版 P118
周術期管理チーム認定試験2024参考
⑨医薬品の管理について誤っているのはどれか。 1つ
a プロポフォールは習慣性医薬品である。
b 医療用麻薬は毒薬と一緒の金庫に保管・管理する。
c 医療用麻薬の残液は空容器と共に薬剤部に返却する。
d 筋弛緩薬を使用する場合は管理簿へ記載が必要である。
e 特定生物由来製品を使用した場合は製品名・製造番号や患者氏名,投与日を記録して保管する。
答え
(b)
- ○a プロポフォールは習慣性医薬品である。
- ×b 医療用麻薬は毒薬と一緒の金庫に保管・管理する。
→麻薬は、麻薬専用(覚せい剤を除く)の金庫に保管する。毒薬は施錠された保管場所で、一緒に保管はしない。 - ○c 医療用麻薬の残液は空容器と共に薬剤部に返却する。
- ○d 筋弛緩薬を使用する場合は管理簿へ記載が必要である。
- ○e 特定生物由来製品を使用した場合は製品名・製造番号や患者氏名,投与日を記録して保管する。
周術期管理チームテキスト第4版 P37 医薬品の管理方法
周術期管理チーム認定試験2024年参考
⑩動脈圧トランスデューサーの高さを 40 cm 上昇させると血圧表示は何 mmHg 変化するか。ただし,水銀の比重は 13.6 g/cm3 とする。1 つ
a 約 40 下がる。
b 約 30 下がる。
c 変わらない。
d 約 30 上がる。
e 約 40 上がる。
答え
(b)
- ×a 約 40 下がる。
- ○b 約 30 下がる。
- ×c 変わらない。
- ×d 約 30 上がる。
- ×e 約 40 上がる。
- 血圧は、水銀柱の高さで測定しており、mmHg(ミリメートルエイチジー)の単位で表している。
- 血液と水銀の比重の違い(水1≒血液約1.05、水銀13.6)
- 血圧160mmHgは「水銀を160mm押し上げる力」
- 血圧1mmHgは「水銀を1mm押し上げる力」
- 血圧1mmHgは「水を13.6mm押し上げる力」 比重 水:水銀=1:13.6 水の方が軽い
- 水1≒血液約1.05であるため、今回は血液の比重を1で計算する。(設問に血液の比重が無いため)
- 血圧■mmHgは「血液(水)を400mm(40cm)押し上げる力」
- ■mmHg=400/13.6=29.4(約30cm)
- 心臓より、装置を上に上げているので、血圧は下がる。
- 血液の比重も計算するなら
- ■mmHg=400/13.6/1.05=28.0cm(約30cm)
- 参考
- 血圧1mmHgは「水銀を1mm押し上げる力」
- 血圧1mmHgは「水を13.6mm押し上げる力」
- 血圧0.73mmHgは「水を1cm押し上げる力」
- 血圧1mmHgは「血液を12.95mm押し上げる力」
- 血圧0.77mmHgは「血液を1cm押し上げる力」
- 実際は、1cm上昇により約0.7mmHg下がると言う情報が多いです。この場合計算式は出ていないのでおおよそと言うことだと思います。
周術期管理チームテキスト第4版 P133~
周術期管理チーム認定試験2024年参考