周術期管理チーム認定試験の情報と、周術期管理チームテキスト第4版を参考にして作成しています。時代により解釈が変わり、正誤が変わる場合があります。
①医用電気機器の安全性について誤っているのはどれか。 1つ
a 基礎絶縁は漏れ電流を少なくする目的で施されている。
b 補強絶縁は二重絶縁と呼ばれ漏れ電流自体が少なくなる。
c 内部電源は電池・バッテリーを使用し漏れ電流を抑制する。
d 追加保護手段は基礎絶縁が破壊された場合の安全手段である。
e 保護接地はクラス II 機器に義務付けられている追加保護手段である。
答え
(e)
- ○a 基礎絶縁は漏れ電流を少なくする目的で施されている。
- ○b 補強絶縁は二重絶縁と呼ばれ漏れ電流自体が少なくなる。
- ○c 内部電源は電池・バッテリーを使用し漏れ電流を抑制する。
- ○d 追加保護手段は基礎絶縁が破壊された場合の安全手段である。
- ×e 保護接地はクラス II 機器に義務付けられている追加保護手段である。
- 保護接地はクラス Ⅰ 機器に義務付けられている追加保護手段である。
クラス分類 | 保護手段 | 追加保護手段 | 備考 |
---|---|---|---|
クラスⅠ | 基礎絶縁 | 保護設置 | 医用3Pプラグをもつ 設置側で医用3Pコンセントが必要 |
クラスⅡ | 基礎絶縁 | 補強絶縁 | 絶縁が二重になっており、 設置側は2Pコンセントでもよい |
内部電源 | 基礎絶縁 | 内部電源 | 内部に電源がある。 外部電源に接続する場合はクラスⅠ、Ⅱに従う |
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P31~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
②病院における主な電磁障害の組み合わせで誤っているのはどれか。 1つ
a 電気毛布 - モニター障害
b 静電気 - モニター障害
c 除細動器 - 機器入力回路の破損
d 電気メス - ペースメーカの誤作動
e 高周波治療器 - 機器入力回路の破損
答え
(e)
- ○a 電気毛布 モニター障害
- ○b 静電気 モニター障害
- ○c 除細動器 機器入力回路の破損
- ○d 電気メス ペースメーカの誤作動
- ×e 高周波治療器 機器入力回路の破損
原因 | 妨害波の種類 | 医療機器に与える障害 |
---|---|---|
商用交流 | 低周波 | モニター障害 |
電気毛布 | 低周波 | モニター障害 |
電気毛布 | パルス雑音 | 電子機器の誤作動 |
除細動器 | 直流パルス | 機器入力回路の破損 |
除細動器 | 放電雑音 | 電子機器の誤作動 |
パソコン 電子機器 | 高周波 | テレメータの受信障害 |
静電気 | 直流電位変動 | モニター障害 |
静電気 | 放電雑音 | 電子機器の誤作動 |
電気メス | 高周波 | モニター障害 テレメータの受信障害 ペースメーカの誤作動 電子機器の誤作動 |
高周波治療器 ハイパーサーミア | 高周波 | ペースメーカの誤作動 電子機器の誤作動 |
テレメータ | 高周波 | テレメータ同士の混信 |
携帯電話 | 瞬時電圧低下 | ペースメーカの誤作動 電子機器の誤作動 |
電源 | 基礎絶縁 | 電子機器の誤作動 |
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P181
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
③各種体温について誤っているのはどれか。 3つ
(1)血液温は肺動脈カテーテルで測定可能である。
(2)口腔温は唾液の影響で中枢温よりも高く測定される場合がある。
(3)食道温は食道下部 1/2 に留置することで血液温と高い相関を示す。
(4)直腸温は排便や開腹による影響で中枢温よりも高く測定される場合がある。
(5)鼓膜温は非接触型のプローブにより非侵襲的かつ衛生的に連続測定が可能である。
答え
(2),(3),(4)
- ○(1)血液温は肺動脈カテーテルで測定可能である。
- ×(2)口腔温は唾液の影響で中枢温よりも高く測定される場合がある。
- ×(3)食道温は食道下部 1/2 に留置することで血液温と高い相関を示す。
- ×(4)直腸温は排便や開腹による影響で中枢温よりも高く測定される場合がある。
- ○(5)鼓膜温は非接触型のプローブにより非侵襲的かつ衛生的に連続測定が可能である。
測定部位 | 特徴 |
---|---|
血液温 | 正確で感度がよい 肺動脈カテーテルの挿入を必要とする |
食道温 | 食道下部1/3に留置することで心臓の温度(血液温)ときわめて高い相関を示す |
鼓膜温 | 非接触型のプロープにより非侵襲的かつ衛生的に連続測定が可能である |
膀胱温 | サーミスタ付き膀胱カテーテルで測定する |
直腸温 | 排便や開腹による影響で中枢温よりも低く測定される場合がある |
気管温 | 吸気の影響で中枢温よりも低く測定される場合がある |
口腔温 | 唾液の影響で中枢温よりも低く測定される場合がある |
前額深部温 | 特殊なモニター機器を必要とするが、血流が豊富な頭部で衛生的に測定できる |
腋窩温 | 腋窩を3分以上閉鎖腔として測定する必要がある 実際は皮膚表面の温度の影響を受けて中枢温よりも低く測定される場合がある |
関連情報:周術期管理チームテキスト第4版 P369
周術期管理チーム認定試験2020年A参考
④語句と説明の組み合わせについて誤っているのはどれか。 3つ
(1)正義原則 ー 患者に利益をもたらすこと
(2)善行原則 ー 利益と負担を公平に分配すること
(3)無危害原則 ー 患者に危害を及ぼすのを避けること
(4)自立尊重原則 ー 自律的な患者の意思決定を尊重すること
(5)インフォームドコンセント ー 医療倫理の4 原則の1 つである正義原則に基づくこと
答え
(1),(2),(5)
- ×(1)正義原則 ー 患者に利益をもたらすこと
- ×(2)善行原則 ー 利益と負担を公平に分配すること
- ○(3)無危害原則 ー 患者に危害を及ぼすのを避けること
- ○(4)自立尊重原則 ー 自律的な患者の意思決定を尊重すること
- ×(5)インフォームドコンセント ー 医療倫理の4 原則の1 つである正義原則に基づくこと
インフォームドコンセント→自律尊重原則に基づく
自律尊重原則 | 自律的な患者の意思決定を尊重せよ |
無危害原則 | 患者に危害を及ぼすのを避けよ |
善行原則 | 患者に利益をもたらせ |
正義原則 | 利益と負担を公平に分配せ |
周術期管理チームテキスト第4版 P464
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑤手術室の構造で正しいのはどれか。 1つ
a 一般手術室は最低 20 m2 を要する。
b 無影灯の LED は蛍光灯より高温になる。
c 過度の換気は患者体温の上昇につながる。
d 室内圧は 15 Pa 以上の陽圧に保たれている。
e バイオクリーン手術室の清潔度はクラス II を推奨している。
答え
(d)
- ×a 一般手術室は最低 20 m2 を要する。
- ×b 無影灯の LED は蛍光灯より高温になる。
→低温。欠点は青色系統の光を含むため赤色の再現性が悪い。 - ×c 過度の換気は患者体温の上昇につながる。
→体温の低下、騒音などが発生する - ○d 室内圧は 15 Pa 以上の陽圧に保たれている。
- ×e バイオクリーン手術室の清潔度はクラス II を推奨している。
要件 | 一般手術室 | バイオクリーン手術室 |
---|---|---|
清潔度 | クラスⅡ(清潔区域) | クラスⅠ(高度清潔区域) |
室内圧 | 15Pa(1.5mmH2O) | |
換気回数 | 35~45回/h | 120~200回/h |
温度 | 22~24~26度 | |
湿度 | 45~50~60% | |
照明 | 全般1,000ルクス、術野10,000~100,000ルクス | |
広さ | 一般手術で最低約36mm2、 心臓/整形外科/脳神経外科では約52mm2が必要 | |
手術用手洗いの給水 | 適切に管理された水道水 | |
電気設備 | 一般非常電源または、 特別非常電源および瞬時特別非常電源で非接地配線方式を適応 |
周術期管理チームテキスト第4版 P82~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑥脳血流の自動調節能について誤っているのはどれか。 1つ
a 動脈硬化の合併で障害される。
b 脳出血の急性期には障害される。
c 血圧の変動があったときも頭蓋内圧を一定に保つ機能である。
d 未治療の高血圧合併患者では自動調節能の下限は上昇している。
e 正常血圧患者の自動調節能下限は平均動脈圧 70 mmHg である。
答え
(c)
- ○a 動脈硬化の合併で障害される。307
- ○b 脳出血の急性期には障害される。
- ×c 血圧の変動があったときも頭蓋内圧を一定に保つ機能である。
- ○d 未治療の高血圧合併患者では自動調節能の下限は上昇している。
- ○e 正常血圧患者の自動調節能下限は平均動脈圧 70 mmHg である。
- 高血圧(動脈硬化)で障害される
- 自動調節能は糖尿病や脳梗塞、脳出血の急性期には障害される
- 血圧の変動があったとき脳血流を一定に保つ機能である
周術期管理チームテキスト第4版 P307~、349~
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑦ヘモグロビン酸素解離曲線で正しいのはどれか。 1つ
a J 字状カーブを示す。
b pH が上昇すると右方移動する。
c 体温が低下すると右方移動する。
d P50 は酸素分圧 50 mmHg の際の酸素飽和度である。
e 酸素分圧と酸素飽和度の関係を示したグラフである。
答え
(e)
- ×a J 字状カーブを示す。→S字
- ×b pH が上昇すると右方移動する。→左
- ×c 体温が低下すると右方移動する。→左
- ×d P50 は酸素分圧 50 mmHg の際の酸素飽和度である。
- ○e 酸素分圧と酸素飽和度の関係を示したグラフである。
- P50は酸素飽和度50%の時、約27mmHgである。(37℃、pH7.4)

周術期管理チームテキスト第4版 P342
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑧医用電気機器の安全性で誤っているのはどれか。 1つ
a B 形装着部機器は体表のみに適用する。
b BF 形装着部機器は体表以外に適用する。
c 保護接地線の断線は単一故障状態である。
d CF 形装着部機器は直接心臓アプローチする場合に用いる。
e 多くの医療機器に対して簡便な多機能計測機器が利用されている。
答え
(b)
- ○a B 形装着部機器は体表のみに適用する。
- ×b BF 形装着部機器は体表以外に適用する。
- ○c 保護接地線の断線は単一故障状態である。
- ○d CF 形装着部機器は直接心臓アプローチする場合に用いる。
- ○e 多くの医療機器に対して簡便な多機能計測機器が利用されている。
形別分類 | 患者漏れ電流 | 外部からの流入 | 適応範囲 |
---|---|---|---|
B型 | 100μA マクロショック | 保護なし | 体表のみに適用する |
BF型 | 100μA マクロショック | フローティング | 体表のみに適用する |
CF型 | 10μA マクロショック | フローティング | 直接心臓に適用する |
周術期管理チームテキスト第4版 P171~
周術期管理チーム認定試験2024A参考
⑨間欠的空気圧迫装置の点検について誤っているのはどれか。 1つ
a 3 年ごとの定期点検実施
b 加圧ポンプの設定圧力点検
c 接地漏れ電流の電気的安全性点検
d ポンプ本体の変形がないか目視確認
e 電源コードの破損や変形がないかの確認
答え
(a)
- ×a 3 年ごとの定期点検実施 →1年ごと
- ○b 加圧ポンプの設定圧力点検
- ○c 接地漏れ電流の電気的安全性点検
- ○d ポンプ本体の変形がないか目視確認
- ○e 電源コードの破損や変形がないかの確認
周術期管理チームテキスト第4版 P96
周術期管理チーム認定試験2024年A参考
⑩等電位接地について正しいのはどれか。 1つ
a マクロショックを防止する。
b 患者が触れる範囲が対象である。
c 金属表面間の電位差を 100 mV 以下にする。
d 心臓カテーテル室は設置の対象とならない。
e ベッドの金属部分は医療機器でないので接地しない。
答え
(b)
- ×a マクロショックを防止する。→ミクロショックよる心室細動発生を防止
- ○b 患者が触れる範囲が対象である。
- ×c 金属表面間の電位差を 100 mV 以下にする。→10 mV 以下
- ×d 心臓カテーテル室は設置の対象とならない。
→手術室、ICU、心臓カテーテル室など - ×e ベッドの金属部分は医療機器でないので接地しない。
→ME機器、ベッドも等電位接地する
周術期管理チームテキスト第4版 P160、178
周術期管理チーム認定試験2024年A参考